共働きでも「家計が苦しい」時代に思うこと —— 理想と現実のギャップから見える課題

家計

2024年11月に実施されたマイナビの調査によれば、共働き世帯であっても「家計が苦しい」と感じる人が約半数にのぼるという結果が出ました。特に注目すべきは、理想とする世帯年収(平均1126万3000円)と実際の年収(平均806万4000円)との間に、約320万円の開きがある点です。

私自身もこのデータには大きく頷かざるを得ません。年収800万円台と聞けば一見「十分では?」と感じるかもしれませんが、住宅ローン、教育費、老後資金、さらには日々の生活費まで含めると、安心して暮らせる余裕は案外少ないのです。

子どもがいるほど「理想とのギャップ」は大きい

調査では、子どもがいる夫婦の平均年収は約901万円であるのに対し、理想は約1247万円。差額は346万円にもなります。子育てには想像以上にお金がかかります。保育料、習い事、進学費用など、未来への投資は膨らむ一方。これでは「理想」とのギャップが広がるのも当然でしょう。

家計が苦しい人の年収は平均716万円

さらに、家計が「苦しい」と感じている人たちの平均年収は716万円。年収700万円超えでも生活が厳しいとは、一昔前では考えにくかったかもしれません。これは物価上昇、社会保障の負担増、将来への不安が複雑に絡み合った結果だと思います。

出世意欲と性別のギャップ —— 社会のバイアスにも目を向けたい

もう一つ興味深い点が、役職や出世意欲における男女差です。役職についていないと回答した人は全体の56.1%。特に女性は71.0%と、男性の47.8%を大きく上回っています。

出世したくない理由として「責任が増えるだけで報われない」という意見がある一方で、女性の出世意欲が相対的に低い背景には、育児や家事といった「見えない負担」があると考えます。

マイナビの研究員も指摘するように、これは能力の差ではなく、社会や家庭に根強く残るアンコンシャスバイアスの影響が大きいと感じます。育児は女性が担うべきものという暗黙のルールが、女性のキャリア形成にブレーキをかけているのではないでしょうか。

これから私たちにできること

この調査結果を通じて私が強く感じたのは、「共働きであっても生活は楽ではない」という現実を、社会全体がもっと正確に理解し、支援していく必要があるということです。

私たち個人としても、理想を掲げるだけでなく、「本当に必要な支出とは何か」「仕事と家庭のバランスはどうあるべきか」を、日々問い直すことが求められていると思います。そして社会には、共働き家庭が希望をもって働き続けられる仕組みづくりを、よりスピーディに進めてほしいと願います。

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